「僕はね、ルルーシュ。いつも自分が死ぬ夢ばかり見ていたんだ。誰かの身代わりになったり庇ったりした結果自分が死ぬんだ。ばかだろう。でも僕はその夢を見たあとはとっても嬉しい気持ちになったんだ。だってこんな僕でも誰かのために死ぬことができるんだって思うことができたから。自分が死ぬ夢は僕にとってはとても素敵な夢だったんだ。」

「でも、それなのに最近は死ねない夢ばかりを見るんだ。処刑台で首を切られようとナイフで心臓をさされようと銃でこめかみを撃たれようと僕は生きてるんだ。痛くて苦しくて息ができなくて死んでしまいたいと思っても生きてるんだよ。ねえ、ルルーシュ。僕はどうして死ぬ夢を見ることができなくなってしまったんだろうか。」

問われたルルーシュは何も答えようとしなかった。ただスザクの2つの目に嵌められた緑色のガラス球の奥に鎮座する深い悲しみと怒りを黙って見つめているだけだった。何も言わないルルーシュにスザクは困ったように笑った。ルルーシュはそれにも笑みを返さずに視線を落とすだけだった。

ルルーシュは沈んでいく燃えるような太陽に視線を合わせた。見える景色は全てが炎の色に染まり、ルルーシュの隣で俯くスザクの横顔も西日に照らされていた。ルルーシュは黙ってスザクの焼けた頬を見ていた。それから細い首を見て、そしてスザク、と小さく名前を唇でなぞった。

「スザク。俺はお前がどれだけ死にたがっていても生きていてほしいと思う。」

ルルーシュの言葉にスザクは驚いたように目を見開いたが、すぐに君ならそう言うと思ってたよとさっきと同じように困ったように眉を下げて少し悲しそうに笑った。ルルーシュはそれにも笑みを返さず、ただスザクを見つめているだけだった。