竜崎はいつもばかみたいに色鮮やかで喉が渇きそうな甘ったるい菓子ばかりを選んで食っている。そのどれもがどこの国で作られたのかわからいない得体の知れないものばかりで、以前竜崎と同じだなと皮肉を込めて言ってやったらそれは夜神くんも同じですよ、と笑みもせずに返されたことがある。 今また竜崎はキャンディーばかりがつまったガラスの容器から厳選したひとつをつまんで包装紙を破き、口の中へ放り込んだ。その一連の動作がまるでわが子を慈しむような慈愛に満ち溢れたもののように見えて少し気持ちの悪い思いがした。夜神くんもどうですか、おひとつ、魔女のような指でキャンディーの山を指しながら色のない目を剥き出して竜崎は問うてきた。 「いや、僕はいらない、」 「どうして、」 「気分じゃないんだ。」 「そうですか、残念です。」 そう言った竜崎の口から赤く着色されたキャンディーが見えた。それはまるで遙か彼方の地下に眠るマグマのように鮮やかで活動的で恐ろしい色だった。どうして竜崎は僕にこんながらくたみたいなものを勧めるんだ。鮮やか過ぎて毒にさえ見える食べ物は僕みたいな人間が食べていいものではない。 ふと、こんながらくたみたいなものばかり食っている竜崎の舌もいつか本物のがらくたになってしまうのではないかと思った。それは非常に面白い話だ。舌がばかになったついでにいっそ竜崎の存在もジャンクになってくれたら非常にありがたい。そうしてやっと竜崎、君を愛せるような気がするよ。 |