自分の体が震えていることは知っていた。けれどそれにはむりやり気づかないふりをする。今更何かを考えたって阿部くんに触れるべきではなかったとかどうせ溢れるのはいつもの後悔の気持ちだ。それを言ってみたところできっと我慢なんてできなかったくせに。
だってそれ以上にきみがすきなんだよ、阿部くん。

「三橋、だいじょうぶ、」
「だいじょぶだよ。阿部くんの、すきにしてくれていいからね、」

ね、と念を押すと阿部くんはなにも言わずにおれの首筋にそっと頬を寄せた。それがあまりにもやさしい仕草で心地良くて少し泣きそうになった。
(うん、だいじょうぶだよ。きっと。阿部くんがいるならなんだってだいじょうぶだ。
きっとおれは阿部くんに触れることで息をすることができるよ。)