(焼けたアスファルトの上に、2人。 並んで口を開けば白球を追いかけることばかりで言葉が尽きる様子はない。陽に焼けた2人の頬は健康的にきらきらと太陽の光を反射している。 ああなんて青春、と通りすがった人は感嘆した。) そうだ、と阿部の思考は瞬間にして切り替わる。以前の三橋はこんなに全てをあずけたようには笑わなかった。出会って数ヶ月の間はかわいそうになるくらい俯いて、まつげを震わしてそろりとこちらをうかがっていたのに。 それなのに夏になって三橋はわらう、わらう。 そして阿部もいらいらと沸点の低い頭を抱えることが少なくなったと自覚する。なんでだろうなんてわかりやすい自問への至極簡単な解答はきちんと理解している。 阿部は心底嬉しそうににやりと口元を緩めた。 そういえば、と三橋の思考も展開する。阿部を取り巻く空気が最近は穏やかに落ち着いている。接触も多くなったし、意思伝達は完璧だ。以前の阿部の様子を思い出すと三橋は恐ろしさに少し身震いしたが、けれども今は2人の関係はとても安定しているように思う。うん、嬉しい、よ。普段からゆるい頬をさらにゆるめて三橋は笑った。 (焼けたアスファルトの上に、2人。 はおった白い制服のシャツが太陽光よりも眩しかった。) |